はじめましての挨拶とこのブログについて
目次
はじめに
はじめまして、Nanao と申します。
僕は目に障害があり、現在はほぼ盲目の状態です。
僕の症状や経歴などは以下のページに掲載しています。
でもこの記事、実は視覚を一切使わずに書いているんです。
これを読んでいる方は「視力を使わずにどうやって書いているの」?と驚くでしょう。
この記事やブログ内部のプログラムはスクリーンリーダーという読み上げソフトを使って作成しました。
実は身近にあるアクセシビリティ
一般に販売されている PC やスマートフォンなどのデバイスにはスクリーンリーダーという視覚を補助するアプリが用意されています。
スクリーンリーダーには画面に表示されているテキストやリンク、ボタンの内容などを音声で読み上げてくれる機能が備わっています。
例えば iPhone のボイスオーバーというスクリーンリーダーを有効にすると、画面をタッチした場所に表示されているテキストを読み上げてくれます。
リンクやボタンなどは 1 回目のタップでテキストが読み上げられ、2 回連続でタップすると確定になります。
テキストの入力も同様の操作で使えます。Bluetooth のキーボードを接続すればより早くタイピングができるようになります。
さらに、Excel や Word などのマイクロソフト社製品はスクリーンリーダーに対応しているため業務にも十分活用できます。
ありがたいことに近年のアプリケーションや WEB サービスはこういったアクセシビリティ機能に力を入れているため私たち視覚障がい者にとってとても良い時代になりました。
例えば VisualStudio Code を使ってブログ記事やプログラムを書いたり、Kindle や Audible で本を読んだり、Youtube 動画を視聴したり Twitter で情報を発信したりといったこともできます。
アクセシビリティとはどんな人でも利用できる使いやすさを表す言葉です。
上記で述べたようなスクリーンリーダーの他にも以下のように様々なものがあります。
- 画面上のテキストサイズを変更できる機能
- まぶしさを軽減するためのダークモード機能
・色に頼らないためのグレー表示- WEB ページの状態変化をスクリーンリーダーに伝える機能
- 点滅や激しい動きを避けるためのアニメーション無効化機能
もっと身近なところでは以下のようなものもあります。
- 青の時に音楽が鳴る信号機
- 道路の黄色い点字ブロック(全盲の方は白杖を使ってブロックの凹凸に沿って歩行する。ロービジョンの方はブロックの黄色を目印に歩行する)
- シャンプーのフタのでこぼこ(シャンプー中でもリンスやコンディショナーと区別ができる)
- お酒の缶のフタ(点字でお酒と書いてある)
- テレビの副音声(対応している番組は副音声で画面の上京を説明してくれる)
ここに挙げたものは視覚障がいに関係するほんの一例です。
他にも聴覚障がいの方や車いすを利用している方など障がいの数だけ機能があります。
現状の課題
一方で近年増えてきた飲食店のタッチパネル、セルフレジのタッチパネルなどは現状アクセシビリティ機能が備わっていないため誰かの手助けが必要です。
これらは店員さんのしごとを削減するための仕組みなので店員さんに手伝って頂くのはやはり躊躇します。
また、近年よく話題になっている AR や VR 、メタバースなども視覚に依存する媒体なので取り残されてしまわないか心配です。
新しい技術を導入する際はどうしてもアクセシビリティ機能が後回しになってしまいがちです。
こういった課題が少しでも周知され、改善されていけば障害があっても誰もが自由に暮らせる社会になると僕は考えています。
このブログの方針
僕はソフトウェア開発者として従事した後に視覚障がい者になった経緯があります。
開発者と視覚障がい者のどちらの視点もあるため両者の橋渡しのようなことができればと思ってこのブログを作成しました。
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このブログの方針は 2 つです:
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視覚障がいをお持ちの方々にとって有益な情報を届けたい
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ソフトウェア開発者の方々にアクセシビリティを知ってもらいたい
おわりに
近年はスマートフォンの普及によって高齢者の方々もインターネットへ参加するようになりました。
日本は高齢化が緩やかに進行しており、高齢者の方々の比率は年々増えています。それに伴う視力や認知機能の衰えも避けられません。
そういった方々にも合わせて画面の文字を大きく表示したり、平易な文章にすることでより情報が伝わりやすくなります。これもまたアクセシビリティです。
このように、誰もがいつかは多少なりともアクセシビリティの恩恵を受けることになります。
なのでまずはアクセシビリティを知ることでその時に備えることができます。
開発者の方はアクセシビリティを製品に取り入れることで、より多くのユーザーに使ってもらえるというメリットがあります。
いわゆる「取り残される人」を一人でも減らすことで社会に貢献できます。
今回は以上です。
ここまで読んで頂きありがとうございます!
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